マルチワークスは、複数の収入源を持つことで”社会のなかで”じぶんらしく働いていく方法を日々実践し、こうして記事として紹介しています。
「仕事」というものを多角的に考え、発信しているからこそ、読者から働き方やキャリアデザインに関する質問をいただいたりもする。
ぼくらは「働き方塾」の講師などでは決してないので、そうした質問に対しては一緒になってアンサーを考えることになります。
そんなとき、ぼくは「マルチワーカーとして」というよりは一介の「ごくごくふつうの社会人として」、頭をフル回転させることにしている。
なぜなら、マルチワーカーというのは、肩書きや働き方というよりは仕事に対するスタンスだからだ。
市場や社会のなかで価値をつくっていくぼくらは、問いを投げかけてくれるあなたと立場上なんら変わりはない。そう考えています。
さて、先日いただいたのはこんな質問だった。
「好きなことを仕事にするべきか否か?」
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「好き」を仕事にすること
彼はいま学生だ。
「物心のついたときから野球をやっていて、いままでもこれからも白球を追いかけていくのだと思う」
そう語る彼は、至極本質的に野球人間なのだということが容易にわかりました。
4年制の大学に通う彼はいま3回生。
周りは一斉に「シューカツ」と称して、企業研究やインターンシップに勤しんでいるところらしい。
これまで野球しか知らない、自他共に認める「野球バカ」だった彼は、今後の進路として3つのプランを掲げていました。
1.大手スポーツ用品メーカーに入社する
2.高校教師となり、野球部の顧問を務める
3.余暇に少年野球のコーチとして活動する
どれを選んでも、少なからず野球に関する人生だ。
だから、彼にとってはすべてのコースで好きなことをして食っていけると。
それゆえに、どの道に進むべきか、どれがいちばんの正解か判断が下せないのだと言いました。
「客観的にみて、どのプランがぼくのやりたいことに近いでしょうか?参考までに教えてください」
少し考えて、ぼくは言った。
「どれも、君の好きなことが仕事になってないかもしれない」
それは本当に「好き」か?
彼は野球のなにが好きなのだろうか?
ボールを打ち抜く時の快感?
点を取り合うゲーム性?
9人で作戦を練る戦略性?
後輩メンバーへのコーチング?
青空の下で身体を動かす心地?
グラブやバットのフォルムや材質?
試合の後に飲むビール?
しばらく考えて、「全部好きです」と彼は応えた。
それは、彼の本音だったとは思う。
ただ、ひどくぼんやりした回答だ。
「好き」を分解するのはとってもむつかしい。
恋人のどこが好きとか、寿司が他の食事と比べて勝っている点とか、あのアイドルの出演する番組を観てしまうのはなぜかとか……
「好き」の要素を理解することは容易ではない。
でも、だからこそ「好き」を仕事にすることはもっとむつかしいのだ。
彼のみならず、誰もがプロ野球選手になれるわけではない。
それでは、ごく少数を除いて「野球」に関わる豊かな働き方は実践できないのかというと、それはちがうと思います。
彼が「野球を好き」と思う本質を理解することができれば、「好き」で食っていくこともできるのではないだろうか。
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本質を追求すること
複業による働き方の編集を推奨するマルチワークスとしては、こんな回答もできるでしょう。
まずは少しでも「好き」で収入を得られる環境をつくる。
徐々に自らの「市場価値をデザイン」し、「好き」で稼げる割合を増やすといい。
これはある意味テクニックであり、また働き方のスタンスの話でもあります。
でも、今回はそれ以前の話をしているつもりだ。
「好きなことが仕事になる」とは、働けば働くほど身も心も豊かになる仕事の仕方であってほしいのです。
その労働活動を続けることで、あなたの「好き」が汚されるような嘘偽りだけは悲しい。
その仕事が、あなたの今後成し得たい「ミッション」であると胸を張って言えるだろうか?
好きなことで働くとは、つまりそういうことなのだと思います。
仕事とミッション
こんなことばかり言っていたら、「好きなことで食べていくことは大変そうだし、やめよう」と思う人もいるかもしれない。
いや、そんなことを啓蒙したいわけじゃないのだ。
先ほども述べたが、仕事が自らの「ミッション」と呼べるものに関連しているといいなと考えています。
働くという活動を通じて、じぶんは何をしたいのか?
野球バカの彼がいつまでも野球バカであれとぼくは思いました。
彼の生涯の「ミッション」は何であるか考えたのはまた別の話。
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